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転がり/滑り条件でのグリース膜形成
グリースは、機械要素の潤滑剤として広く使われており、基油と微細な固体である増ちょう剤、添加剤などから構成されています。グリースが作る膜の厚さは、高速条件下では、基油の特性で決まり、速度が低い場合には増ちょう剤の特性が膜の形成を支配しますが大変複雑な挙動を示します。機械で発生するさまざまな運動条件でのグリース膜の挙動を、光干渉法を使いナノメートル分解能で計測して調べています。
転がり/滑り実験
本研究は競輪 オートレース
の補助を受けて実施しました
脂肪族系ジウレアグリースUA-1
芳香族系ジウレアグリースUA-3
脂肪族系ジウレアグリースでは、高速域で基油の膜厚とほぼ同じ膜厚を示したが、10 mm/s 以下では速度の低下とともに膜厚が厚くなり、4 μm/s では2μm以上になった。低速域では微小な増ちょう剤相互作用が支配的になるためと考えられる。
相対滑りがある場合には、高速域の膜厚は影響を受けないが、低速域では膜厚が大きく低下した。これは、低速域ではせん断速度(= 相対速度/膜厚)が大きいため、増ちょう剤の相互作用が相対的には小さくなるためと考えられる。
芳香族系ジウレアグリースでは、全速域で基油の膜厚よりも厚くなり、平滑な膜形状は見られなかった。これは、増ちょう剤の相互作用が大きいため、増ちょう剤の凝集したものの大きさが大きいためと考えられる。このような膜厚を示す場合、転がり軸受では振動・騒音が生じ、これらが問題となる用途には使用できない。
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